彩人工房

ご利用は計画的に。

 報道などで、「ウィニーで流出したデータの回収は不可能」なんて言っていますが、「なんでよ!?」と思う人も少なくないでしょう。
 今までならば、情報流出といっても紙媒体であったりCDなどのメディアであったり、何らかの実体がありました。そしてそれをコピーする為にはある程度の手間隙がかかるので、流出したことに早くに気付いて原本のモノ自体を回収できれば、問題の大半は解決でした。しかし現在、パソコン上のデータの場合はコピーは簡単です。データを手に入れた場合、必ずと言っていいほどに自分のパソコンへコピーするでしょう。そして更に、インターネット上の掲示板などに「こんなデータがあったぞ!」なんていう話題を振りまき、みんなが面白半分にコピーしまくるという事態に陥ります。
 インターネット上の話題は本当にあっという間に広がり、そしてデータのコピーも無数に広がります。日本中から不特定多数の人間が流出データのコピーを行ってしまうので、その全てを調査して回収するのは、事実上不可能です。
 「○○会社の顧客名簿がウィニーで流出しました」なんていう報道が流れると、大勢の人が興味半分でそのデータを探します。そしてもし、そういうデータにコンピュータウィルスが感染していたら? または、そういう流出データと同じタイトルをつけて偽装したコンピュータウィルスをバラ撒かれたら? コンピュータウィルスの被害は一気に拡大します。
 現在、誰でも簡単にパソコンが使えるような時代になりました。そしてインターネットの普及により、パソコンの使い方が少し分かれば、そこからもっと色んな事ができるようになりました。私の知り合いの話では、ウィニーをやるためにパソコンを購入したという人も多いようです。それを「そんなのはダメだ!動機が不純だ!」とは言いません。どんな理由であろうとパソコンやインターネットに興味を持ってもらえるのは、この世界で働いている人間にとってはとても嬉しいことです。しかし、あまりにも簡単に色んな事ができてしまうので、パソコンに関する知識やインターネットを利用する緊張感などが足りなすぎるのでは?と危惧もしています。
 私の友人でもウィニーを使用している人は何名もいますが、ある人は、持っているパソコンの1台をウィニー専用にしています。そこまでしなくても、仕事用とプライベート用のパソコンを完全に分けている人も多いです。パソコンをよく知っている人は、新しくパソコンを始めた人から見ると「どうしてそんな面倒臭いことしてるの? 実は自分の方がパソコンに詳しいんじゃないの?」なんて不思議がる程に、あらゆる面において注意深く気を使っています。
 情報流出の危険性は、ウィニーだけの問題ではありません。パソコンでインターネットに接続している限り、油断するといつでも情報流出の危険性はあります。現在起こっている問題を機会に、パソコンの利用方法やインターネットの怖さについて、もう一度考えていただければ幸いです。
 

「ファイル公開」自体が悪いわけじゃない。

 数週に渡って考えてきたウィニーによる情報流出問題ですが、最近はあまり騒がれなくなってきました。しかし、パソコンの管理が徹底してきて情報流出が無くなった、という事ではないでしょう。おそらく、マスコミのニュースとして飽きてきたので大々的に報道しなくなっただけだと思います。
 さて、率直に「ウィニー」は悪質なソフトなのでしょうか?報道を見ていると、「ウィニー自体に違法性がある」などと言っている人もいますが、私はそう思っていません。ウィニーを代表とする「ファイル交換ソフト」は、むしろ、個人同士でデータのやり取りが直接行えるメリットの方が非常に大きいと思います。様々な大手ソフトメーカーやポータルサイトなどが、個人同士でファイルのやり取りが行えるウィニーと同じようなシステムの開発や普及を行い、今後の主導権奪取を目指しているほどです。
 現在、パソコンのファイルを個人間で直接やり取りしようとした場合、メールへ添付させるのが一番簡単な方法です。しかし、ファイルサイズが大きすぎると送受信処理などの都合でメールへの添付はできません。自分のホームページを持って掲載する方法もありますが、それはそれで色々と手間がかかります。そこで、ウィニーのように個人間でファイルのやり取りが直接行えるようなシステムが利用できれば非常に便利です。また、例えば個人が自主製作したアニメ・イラストや曲などの作品を配布したり、他の人が自主制作した作品を収集しようと思った場合、インターネットでは膨大な量のデータがありすぎて配布や収集が簡単に行えません。しかし、個人間でファイルのやり取りが直接行えれば、自分の作品ファイルを手軽に公開し、他の人の作品ファイルを手軽に入手できます。
 しかし、ここで大きな問題が発生します。あらゆるファイルが手軽に配布・入手を行えるとなると、著作権違反などに該当するような違法なファイルのやり取りも簡単に行えてしまいます。例えば、映画やDVD、CD、漫画などをパソコンで利用できるデータにしてコピーしたものなど。ホームページを利用して公開しようとすれば、そのWEBサーバの管理者が発見して関係各所へ通報するような可能性も高いです。しかし、個人間で直接にファイルのやり取りが行われると、そういうチェックもなかなか行えません。チェックが全く行えないわけではないですが、やり取りされるファイル数が膨大すぎて全部を完全にチェックしていられない、と言ったほうが正しいでしょう。
 そして更に、そういうファイルのやり取りも最初は自分の趣味の範囲だけでファイルの収集をしているのでしょうが(それでも違法なファイルのやり取りはダメですが)、次第に、自分は必要なくても他の人が欲しがるようなファイルも収集したり、話題のネタになるようなデータまでとりあえず収集しておくようになっていき、だんだんと見境がなくなっていくそうです。そんな風に手当たり次第にデータを収集している中で、ウィルスの感染も急激に広まっていくようです。
 ……ん〜、今週でこのシリーズ終了の予定でしたが、終われませんでした。またまたまた来週に続きます。
 

簡単に「ファイル交換」できるんです……が、

 ずっと引き続きお話している「ウィニー」についてですが、「ウィニー」は「ファイル交換ソフト」というジャンルになります。別名「ファイル共有ソフト」「P2P(※)ソフト」などとも言われ、他には「WinMX」というソフトも有名です。
 この「ファイル交換ソフト」ですが、とても簡単に言うと、個人のパソコン同士を直接繋げちゃうことができるソフトなんです。「ウィニー」を入れたパソコンは、同じように「ウィニー」を入れている全てのパソコンに対して、自分が持っているファイルの一覧を公開します。また逆に、その他の全てのパソコンが持っているファイルを調べる事ができます。自分が欲しいデータがある時には名前や内容などのキーワードによって「ウィニー」を通して探すと、誰かが持っていることを見つけ、そしてそこから直接データを貰うことができます。
 先週お話したように通常のインターネットでは、ホームページを公開したい場合はWEBサーバに転送し、ホームページを見たい場合はWEBサーバを介して見ます。WEBサーバによっては保存できるファイルサイズの容量や転送量、公開できるデータの種類も決められている場合があります。しかし、「ウィニー」などの「ファイル交換ソフト」を利用した場合は個人のパソコン同士が直接にやり取りを行うので、そういう制約やチェックがなくなります。良くも悪くも、あらゆるデータのやり取りが可能になってしまいます。それこそ、公にはコピーできないような著作権違反のデータも。(この辺のお話はまた来週)
 ただし、パソコン内のファイルを公開すると言っても全部ではなくて、許可する場所(フォルダ)を決めて設定し、その一部分だけを公開します。なので、個人的なデータや仕事上のデータは別の場所(フォルダ)に保存しておき、「ウィニー」で公開する場所(フォルダ)に含めなければ大丈夫……のはずです。と言うか、そのはずでした。
 しかし最近、「ウィニー」に特化したコンピュータウィルスが氾濫してしまいました。コンピュータウィルスの症状も様々なのですが、最近問題になっているウィルスの特徴は、「ウィニー」が入っているパソコンが感染してしまうと、「ウィニー」で公開すると決めた一部分の場所(フォルダ)だけではなくて、パソコン全体のデータが「ウィニー」で公開されてしまいます。そして、ウィニーでデータを検索していた人達がそれを見つけ、興味半分・面白半分でデータをコピーし、流出に至ります。一度流出してしまうと、これはもうどうしようもありません。どんなに早く気づいたとして、完全に手遅れです。……という辺りで、またまた来週に続きます。

※P2P(ピーツーピー)
「Peer to Peer」の略語。「Peer」は「同等の人」という意味で、「2」は「to」のこと。同等(直接)に複数のパソコンが繋がっている状態。ちなみにインターネットでのパソコンの繋がりの状態は、ホームページを公開するパソコン(=サーバ:提供者)とホームページを利用する個人のパソコン(=クライアント:依頼者)という処理の違いがあり、「クライアント・サーバ」と呼ばれる。
 

私のパソコンからは公開していません。

 先月、コンピュータウィルスやセキュリティソフトの必要性にでいてお話させていただきました。そして今日は、ニュースを賑わせている「ウィニー」のお話を……と思ったのですが、その前にまず、インターネットの仕組みから簡単に説明したいと思います。まぁ、「急がば周れ」ということで。
 これからお話しすることは、もしかしたらインターネット初心者の人にとっては衝撃的な事実かもしれません。インターネットで様々なホームページを見ていると思いますが、実は、貴方のパソコンが直接にホームページを製作した人のパソコンへ繋がっているワケではありません。ホームページを公開する場合も、ホームページを製作したパソコンから直接にインターネット上へ公開されるワケではありません。
 ホームページを製作した時、そのデータはインターネット上にあるホームページ公開用の専用パソコン(WEB-ウェブ-サーバと言います)へ転送し、そこから公開することになります。これからホームページを製作して公開してみようと思っている人もいらっしゃるでしょうが、ホームページを製作しただけでは、自分のパソコンから直接公開はできません。専門的な知識があれば自分のパソコンから直接に公開することも可能ですが、それは本当に難しくて特殊な事であり、一般的には行わないと思ってください。ホームページを公開する場合は、大手ホームページでの会員サービス、契約しているインターネットプロバイダの追加サービス、またはお金を払って独自に契約を行うなど、必ず何らかの方法でWEBサーバを借りることになります。そして、その借りたWEBサーバにホームページのデータを転送して、そこからインターネット上への公開を行います。ちなみに、インターネットについて右上にあるようなイラストで表現されることがよくありますが、みんなのパソコンが直接繋がっているワケではありませんので、厳密に言うと正しくはありません。インターネット上のパソコンの広がりを分かりやすくするために、あえてこういうイラストが利用されているんですね。
 何となく分かってもらえれば嬉しいのですが、つまり、普通にインターネットを利用している状態では、個人のパソコン同士が直接に繋がる事はありません。そして、あなたがインターネット上のWEBサーバに間違ってデータを転送しない限り、パソコン内に保存してあるデータを誰かが勝手に見るようなことはありません。ただし、パソコン内のデータを勝手にWEBサーバ上へ転送させてしまうようなコンピュータウィルスに感染してしまった場合は、データが流出する恐れもあります。
 しかし、もしそのようなウィルスに感染してしまったとしても、パソコンに保存されている膨大な数のデータが全て流出してしまうということは、まずありません。今でも情報流出の問題がありましたが、こんなに頻繁に起きることはありませんでした。こんなに重大な問題になってしまったのは、やはり「ウィニー」というソフトの特殊な機能が関係しています。そのお話は、また来週……。